何者

今をときめく作家朝井リョウの原作。これ、直木賞受賞作だったのか・・・
原作はかなり前に読んだけれど、就職活動により精神的にさいなまれるのはわかるけど、若者の世界のなんという狭さセコサ鬱陶しさ!
読後感は悪く、うんざりした記憶が。
なのでまったく期待はしていなかったのだけど・・・

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主人公は人を冷静に観察して分析する拓人。演劇サークルに所属して脚本や演出をしていたが、普通に就活をする日々。
バンドを組んでいた同居人の光太郎は天真爛漫で、何も考えていないようで、着実に内定へと突き進む。
その光太郎の元彼女の瑞月は家庭の事情もあり地道に真面目に就職のことを考えている。
瑞月の友人理香は自分の英語スキルを活かしてバリバリ働きたいと、猛烈に就活に励む。
理香の恋人の隆良は皆が同じように就活に向かう姿に疑問を感じる、と宣言しながらもこっそり就活をしている。

まず映画になってなにがダイレクトに実感できたかというと、就活のアホらしさ。
いや、この表現は非常にまずいとは思うのだ。
けれど劇中、何度か面接官から出される言葉に「1分間で自分を説明してください」ってあれ。
なんですか、それ。
1分間で語れるほど人の人生が薄っぺいわけがない。
それに真面目に答えねばならない状況って、本当にアホらし!と吐き捨てたくなるじゃない。
来るのはお祈りメールばかりでゆらぐ己の存在意義。
そりゃあストレスもたまるし、他人の内定にはねたみそねみしか感じなくなるわなぁ・・・

そしてそれをわかりやすく態度にだすことはせず、匿名アカウントのSNSで吐き出すという、薄気味悪さ。
自分でもその気持ち悪さに気づきながらも、そうすることでしか平静を装うことすらできなくない状況。
楽しい学生生活の最後に、こんな気色の悪い日々が待ち受けていようとは!

ある衝突から拓人はそんな自分のことをあるがまま受け入れ、言うなれば青春時代が終わり、本当の意味での人生がはじまる。
その転換を拓人が打ち込んでいた舞台と絡めて表現していく手法がうまくて驚いた。
舞台のセットと5人が集う部屋が同じだったりね。

いまが旬の若手俳優がそれぞれ好演。
誰が見てもどこかに自分の姿を見ることができるのでは。
SNSに踊らされる世界の不気味さを十分に表現しながらも、希望も感じる、原作の不足を補って余りあるエンターテイメント作品である。

それにしても、だ。
実は見に行く前にツイッターでレビューを探したのだけど、若い子・・・おそらく高校生くらいか、の感想が「よくわからなかった」の多いこと。
おばちゃん、その想像力のなさがとっても心配なんだけど。わかんないのかー、マジかー!

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