ダゲレオタイプの女

黒沢清監督がオール外国人キャスト、フランス語で撮った映画。
ダゲレオタイプとは日本では銀板写真と呼ばれるもので、撮影時間が長い傾向にある。

無職のジャンは写真家ステファンの助手として雇われる。
古びた広い屋敷で撮影される写真はダゲレオタイプで行われ、拘束器具でモデルの体を長時間固定するものだった。
モデルはステファンの娘マリーで、屋敷を出て外で働き自立することを夢見るが、父の束縛から抜け出せずにいる。
ジャンははかなげなマリーに心ひかれるが。

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映画の前半はとてもいい。
屋敷に差し込む柔らかく美しい光に、ふと紛れ込む夢現、恐怖。
うーん、黒沢清っぽい!と堪能していたのだ。
ヒロインの黒目が細かく揺れるのとか、どうやって撮ったんだろう。
もともとああいう目なのかしら。とても不安をかきたてられる。
ダゲレオタイプという設定もいい。
技術が進歩してからは数分じっとしていれば撮影できるようになったらしいが、この映画ではモデルに長時間の拘束を強要している。
拘束器具で体を不自然に固定し、動くことを許さない・・・

もうこれだけ不安要素がてんこもりだと、どんな悲劇が待っているのか!と期待してしまうのが人間の性だと思うのだけど。
屋敷が建つ土地の買収話が出て、お金の話が絡んでくると、どうにもこうにも失速。
他人の存在の有無が曖昧になる瞬間も、下手なホラーみたいで、冷たい土の底からわきあがるような恐怖は感じられない。

黒沢清とフランス、という組み合わせは悪くないと思うけど、どうにも食い足りない。
曖昧な存在、不在への絶望というテーマでぐいぐい押しとおしてほしかった!
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