彼らが本気で編むときは、

11歳の少女トモは母親と二人暮らし。
ある日突然、母は書置きを残して出奔、しかしこれが初めてではない。
トモは怒りながらもとりあえずの荷物をまとめ、母の弟マキオの元を訪ねる。
勝手知ったる叔父の家、と思いきや、そこにはリンコというマキオのパートナーが同居していた。
リンコはトランスジェンダーで、体は女性へと「工事」済。
戸籍はまだ男性のままだが、あることを終えたら戸籍も変えようと決意していた。

人は自分と違うものをどれだけ受け入れることができるのか。
受け入れる、ということは、受け入れない人も受け入れる、ということでもある。
むーん、難しいのぅ。
リンコは様々な偏見を受ける。彼女はだまってそれを飲み込んで、心を鎮める。
どうにもおさまらないときは、編み物をしてそこに思いのたけをぶつける。
この映画のリンコは、自分にちゃんと向き合って愛してくれる人も、色眼鏡で見る人も、すべてを受け入れようとしている人なんだな、と思った。

674.jpg


わたしの周囲にはLGBTの人はいない(と思う・とりあえずカミングアウトされたことはない)ので、こうやって映画だとか読書によってそういう知識を得てきた。
そこそこの数の映画を見てきたせいか、性や性別趣味趣向関してはかなり寛容というか。
人様に迷惑をかけなければいいんじゃないでしょうか、というスタンスなのだが。

劇中リンコが怪我で入院するシーンがある。
戸籍上は男性であるリンコ。心も体も女性なのに、男性の大部屋にしか入ることができないのだ。
自分だったらどうだろう。
「この人トランスジェンダーで今は女性なんで同室でもいいですよね?」
と言われたら。心のどこかで「ちょっとやだな」と思ってしまう自分がいるかもしれない。
いやはや、難しい。すべてを受け入れるということは、難しい。

まあそんなわたしの小さいケツの穴は放っておいて、映画である。
最初のうちは普通と違うリンコを警戒していたトモが、徐々に彼女の母性に触れ子どもらしさを取り戻していくようす。
マキオのリンコへの想い。
身勝手なトモの母親のバックボーンなどが実にうまく表現されている。
必ずしもお互いの関係が良好とは言えない祖母と母とトモ。
けれどもふとしたときに口ずさむ歌が同じ、というのがにくい。

なにより、リンコという女性を演じきった生田斗真氏は、本当に素晴らしいとしか言いようがない。
ジャニーズが女装してる映画でしょ、なんて軽んじてる場合じゃないですよ。
スポンサーサイト

COMMENT 0